日記(1)

私がパソコンを始めて知ったのは、1975年前後だったと記憶しています。
当時、オーディオメーカーの営業マンをしており、東京の秋葉原営業所に勤務していた関係で、毎日秋葉原の各ショップを訪問していました。
ある日、確か佐伯無線の電卓コーナーだったと思いますが、見慣れない商品がガラスケースの中に展示してありました。
顔見知りの店員さんに「これは何だ」と聞くと「コンピュータだ」という返事が返ってきました。
それまでのコンピュータのイメージは、大手企業のビルの一室全部を占領し、あたかも神殿にかしずくように技術者の人達が操作をしている、巨大な訳のわからないマシンといった感じでした。
それが、20cm位のみすぼらしい(本当にみすぼらしかった)ダンボールで作ったパッケージ箱に入れてある、1個の比較的大きい「LSI」がコンピュータだと言われても信じられないのは無理もありません。
これは、インテル社の8ビットマイクロコンピュータ「8008」だったのです。インテルの8ビットマイコンであれば「8080」だろうとおっしゃる方もおられるかも知れませんが、実は「8080」の前に「8008」があったのです。
店員さんに頼んで、ガラスケースの中からパッケージを出してもらって見たのですが、マニュアルは数ページしかないペラペラ、それもすべて英文で訳がわかりません。
「これでコンピュータなの」と店員さんに聞くと、当然店員さんも知識がありませんから、「仕入れ担当者から、そう言われているよ。俺も判らないけど、もう5セット売れたよ」との話です。当時の大型コンピュータメーカーの人達が買いに来ていたんですね。
価格は10万円くらいしたと思います。CPUである8ビットマイクロコンピュータ「8008」が1個入っているだけのパッケージがですよ。
当時の私の給料がだいたい12万円くらいだったと思いますので、冗談じゃなく、すごく高価なものでした。買いに来ていた大型コンピュータメーカーの人達も、多分会社経費で購入していたんでしょう。
ただ、このインテル社の8ビットマイクロコンピュータ「8008」は、「こんなものがコンピュータ??」と私に強い印象を与えたのは事実です。

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