Googleスプレッドシートをビジネスで使ってみた?

最近、あるゼネコン(総合建設業の事)の積算担当者さんと話をしていたときのことです。
以前は、下請けさんとの積算見積もり依頼をFAXでやり取りしていたそうですが、最近はもっぱらメールを使っているとの事です。
ゼネコンにはたくさんの専門コン(専門工事業者)が下請けとしてついています。設計書などから拾い出した積算数量をEXCELなどにエクスポートして、単価抜き見積依頼ファイルとしてメールに添付して送ることをやられているようです。
ただ、いくらか困った問題があるようです。
メールが届かない
整理が大変
「メールが届かない」についてはメールアドレスを間違えた、最近ものすごく増えてきているスパムメールと一緒に削除してしまった、などがあるようです。ただ、メールは100%確実ではないのは分かっているはずですが、中にはメールは確実に届くものと思いこんでいる人もいるようですね。
2番目の「整理が大変」については説明の必要がありますね。ゼネコンさんは規模が大きくなればなるほどたくさんの専門コンとのお付き合いがあります。
工事の部分部分を専門コンに担当させるわけですが、その部分部分のそれぞれに複数の専門コンがあるわけです。
分かりやすい例では、建物の内部を仕上げる内装工事を、専門コンである内装工事会社にやらせるわけですが、お付き合いのある内装工事会社が複数あるので、そのすべてに見積を依頼するわけです。
その中で一番安い見積金額を出してきた内装工事会社に、仕事を発注することになります。単純に内装工事だけで10社の専門コンに見積を依頼したとすると、10通のメールが返って来ることになります。
工事全体で考えると、内装工事や外装工事、基礎工事、コンクリート工事などなど、たくさんの専門コンがかかわってきますので、その見積書の総数たるや大変な数になります。
スーパーゼネコンと呼ばれている大手建設会社などは、この見積・発注の業務をコンピュータでシステム化しているようですが、中小のゼネコンでは専門コンである下請け業者も含めてコンピュータ化が進んでいないのが現状のようです。
で、この積算担当者と話をしている時に、フッと思いついたのがGoogleスプレッドシートです。
実際にその場でやってみました。積算担当者はGoogleのメールアカウントを持っていなかったので、取得してもらい、見積依頼用の積算データの一部をEXCELファイルとして準備しました。
最初にGoogleスプレッドシート(Googleドキュメント)サイトでログインして、ファイルのアップロードをクリックして積算データを読込ませます。
ファイルの読込
これは問題なし、マクロなど特別な機能を使っていない限り普通にEXCELファイルを読込みます。
読込んだ結果、出来たのが下のシートです。
積算シート1
見にくいかもしれませんが、単価抜きのシートです。ここの部分に下請け業者さんが単価を入れるわけです。
このままでは、自分だけが扱えるシートになっていますので、業者さんと共有が出来るようにしなければなりません。
共有タブ
シート画面の右上に「共有」タブがあります。このタブをクリックします。
共有管理の画面になります。
共有2
招待の共同編集者をクリックしておいてから、業者さんのメールアドレスを入力し、下の共同編集者を招待のボタンをクリックします。
当然の事ながら、相手方もGoogleのメールアカウントを持っていないといけません。でないと、Googleスプレッドシートを使えないからです。

実験ですから、その場では私のGoogleメールアドレスを入力してみました。
招待1
メッセージ追加欄にメッセージ(今回は簡単に見積をお願いします、としました)を入れて、招待状を送るボタンをクリックするとメールが送られます。
届いたメールの内容が、これです。
メール
「ドキュメントを共有したので、お知らせします」となっているリンクURLをクリックすると、Googleドキュメントのサイトにジャンプするようになっています。
サイトのトップ
見積依頼の「book1」を開けてみると、下のようになっています。
シート1
業者さんは、このシートの何も書かれていない単価に、自社の見積単価を入力していけばいいわけです。
送られてきたシート
入力が終わったら、保存・終了をすれば業者さんのやることは終わりです。
見積を依頼したほうは、Googleスプレッドシートのサイトにいけば更新(この場合は業者さんが単価を入力した日時)されているかどうかを見て、更新されているようであれば見積が出来ているということになります。
こんな風に、その場で実演して見せたんですが、頭をひねる人あり、感心する人ありでした。
手順が難しいそうという人も、「慣れれば使えるかもしれない」との結論に最後はなりました。
ただ、一番の問題は専門コン(下請け業者)の人達に使い方を教えないといけないので、
面白いアドバイスだったけど、すぐにこのGoogleスプレッドシートを使うかどうか分からないとの事。
まあ、こちらとしては本業の話ではないのでGoogleスプレッドシートをゼネコンさんが使うか使わないかは知ったことではないわけです。
今回、あらためて、サイト上でデータを複数の人が取り扱える時代になった(それも至極簡単に)事と、もっと使いやすくすると、色々な業種でインターネットを活用するようになるというのが実感できたのが収穫でしたね。